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AccSell Meetup 008に登壇しました

AccSell Meetup 008バナー

早くも1週間以上前の出来事となってしまいましたが、Webのアクセシビリティビギナーズ向けセミナーの「AccSell Meetup 008」に登壇しました。アクセシビリティ初心者向けのイベントなのでいかがか、とお話をいただき、それならまかせろ!とお引き受けした件は前回の「AccSellのPodcast、そして……」でお伝えしていました。今回はその本編について。

登壇のいきさつ

私はアクセシビリティのすごい人でもなんでもありません。というのが前提です。

では何故そもそも、私のような者に白羽の矢が立ったかというと、たまたま私の声が大きかったから。声が大きいというのはどういうことかというと、何故かWebアクセシビリティ界隈では「デザイナーにはアクセシビリティの重要性が伝わらない」と思われているんです。また、圧倒的に男性比率が高いそう。

そんな中で、たまたまデザイナーで女性の私が、「色とデザイナーとアクセシビリティ」なんて記事を書いたから、色々な方に注目していただけた、というだけなんです。多分。

では何故こんな記事を書いたかというと。記事の内容や前述にも少し関係していますが、「デザイナーがアクセシビリティのことを考えてない」と思われているのが悔しかったという点、また「アクセシビリティのイベントはいつも同じような人たちしかいない」というのに対し「そんなことないよ!」と訴えたかった、という2点が動機です。コンプレックスを否定するときに人は、声が大きくなるものですよね(笑)。ありがたいことに、多くの方々の目に留めていただけたようです。

これをキッカケに、デザイナー目線でアクセシビリティについて話してもらえないか、という依頼でした。

セミナーの全体像

今回の内容は大きく分けて3部構成。

  1. AccSellのお一人、植木真さんによる「JIS X 8341-3:2010を『日本語訳』してみる!~Webアクセシビリティの基本の『キ』~」
  2. 私、守谷による「ひとりひとりが取り組むWebアクセシビリティ
  3. チャットワーク(ツール)のアクセシビリティをライブチェック(中根雅文さんが音声ブラウザでチャットワークを使ってみる)

これらのツイッター中継については、ご参加いただいていた、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)の副委員長、木達さんTogetterで内容をまとめてくださいました。余談ですが、Togetter内で多分、一番ツイートしてくださっているのも、WAIC委員の太田さんです。豪華すぎますね……。

1つめのセッションでは、植木さんから「これだけは押さえておけ」というWeb JIS(改訂版 JIS規格ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3:2010))の10項目の日本語訳。日本語を日本語訳って……すごい試みです。でもそれだけみんな難しいと思っているわけです。何のためにアクセシビリティが必要か、というところから、最低限これだけやればOKというポイントをピックアップしてくだいました。今後も何度も何度も立ち返るべき、必須10件なんじゃないかなと思います。

私のセッションは後述するので飛ばして。

3つめのセッションでは、音声ブラウザでWebアプリケーションを使ってみる、という内容。私が開発に関わるチャットワークというツールを使ってみていただきました。Togetterで見ると切ない結果が多く見えるかもしれませんが、そ、そうでもないんですよ!とはいえ、今後の開発に大変参考になる結果が得られました。

もともと、アクセシビリティチェックというのは難しいものですし、専門知識も必要とするものなので、(登壇のお礼も含め)ライブチェックなんてどうでしょうか?というご提案いただいてやっていただきました。実は、中根さんは「普段からチャットワークを使っているから(ライブチェックの時にも)普通に使えてしまって、まったくチェックにはならないかもなー」とおっしゃっていたのですが、もしかしたら中根さんにはチャットワークは「全く違う物に見えている」のかもしれない……という感想を個人的には持ちました。

ちなみに、ウェブアプリケーションのアクセシビリティにはWAI-ARIAに準拠(参考に)するのが良いとのことで、『コーディングWebアクセシビリティ - WAI-ARIAで実現するマルチデバイス環境のWebアプリケーション』が出版されるのが待ち遠しいです。

私の役割

では、今回のセミナーでの私のミッションは?というと。

アクセシビリティってなんですか!それって難しくないですか!というアクセシビリティのビギナー(かつデザイナー)が、少しでも「そんなに難しいことなかった」とか「なんだいつでもやってることだった」と思って帰ってもらうこと、と捉えていました。いわゆる「障壁を取り除くこと」です。

セッションのタイトルは「ひとりひとりが取り組むWebアクセシビリティ」。スライドは以下にアップしました。

アクセシビリティってデザイナーの人は全然意識しないよね、と言われるのも全くわからないわけではないです。そもそも規格内にデザインに関連する項目が、全体からすると割合が少ないんです。

その中で、前述のブログ記事の内容もあったので、難しそうだけどきちんと触れてみたらそうでもなかった?と一番実感してもらいやすそうな内容を私なりに考え、今回のセッションでは主に「コントラスト比」に絞って紹介していきました。アクセシビリティの中でのコントラスト比というのは、、、長くなるのでまた別途まとめますね。

また、デザイナーはちょっと感覚を頼りにアートを作ってしまうような人もいるので、理由の存在する情報整理をすることがデザインですよね、というのが裏テーマ。規格とデザインは相性が良い、ということに気づくと導入しやすいんじゃないだろうか?という仮定を元にしています。

難しいと言われるJIS規格の文脈の裏側には、じっくり読むとデザインの原則ルールなども含められています。ですが、尺の問題もあったので、残念ながらそういった所と、セッション1で植木さんの方で拾っていただいた10件は、省略させていただきました。

感想としては、ビギナーズ向けイベントだったのに参加者のレベルが高かったんじゃないかな、と感じました。参加者のご所望の内容を私は話せていたんだろうか?という点が、未だ気になっています。ピンポイントに絞ってしかお話ししていないので、今後このブログなどで範囲を広げてお伝えしてければなあと思っています。乞うご期待……。

逆に、「アクセシビリティのイベントはいつも同じような人たちしかいない」という部分は、やっぱり解消されていなかったようにも思います。今回への参加不参加に関わらず、「アクセシビリティは誰でも対応できるものなんだ」と思う人が少しでも増えると底上げになるのになぁ……と、結局思っています。

余談

ちなみにこのセミナーは、勝どきのメンバーズさんのラウンジで、リラックスした雰囲気の中開催されました。「私、緊張しないんで」と直前まで豪語していたのですが、実際どうなんだか、1枚も写真を撮ってませんでした。。。ひじょうに素敵な会場だったんですよ。

今回、こんな貴重な機会をくださったAccSellのみなさん、またイベント開催にご協力いただいたメンバーズのスタッフのみなさん、ご参加のみなさん、どうもありがとうございます。