note

記録、考えかた、ちょっと便利情報

記録:『Web24』というイベントに出ました

f:id:emim:20210515183809p:plain

2つ前の記事で告知を出してた、Web24というイベントに、無事登壇(どちらかというとパネラー?)を果たした。あれからもう1週間経ってしまったとは……早い。

このイベントは「登壇者も主催、みんなで作る」をモットーに構築されていたため、参加後記をすべく特記を以下でまとめる。

まずは、参加いただいた方々、それに声をかけてくださった運営の方々にお礼申し上げる。

アーカイブ配信なし」の試み

このイベントでは、コメントがハッシュタグTwitterに集約されていた & あらかじめアーカイブ配信なしと告知されていたため、アーカイブの代わりに視聴者側がおおいに所感などを投稿してくれ、盛り上げてくださった。コメントを残してくださった方、またただ視聴されてただけかもしれない方に於いても、貴重なお時間を割いていただきありがとうございます。

その記録はTogetterにまとめられているため、以下を参照いただきたい。かなり細かにログが残されているように思うので、未参加の方でもおおよその把握はできるのではないだろうか。

togetter.com

前の投稿でも少し触れたが、このイベントでは「参加者による事前打ち合わせはなし」をルールとされていた。

その理由は、「その場にたまたま集まった一過言もつ有識者の普通の会話を、たまたま聞くことができる状態」が演出されたため。

その意図に沿うべく、我々パネラーも事前打ち合わせは最小限に当日を迎えたわけだが、UDトーク(後述)のための事前テストの際でも2時間、ああだこうだ結局アクセシビリティの会話をしていたため、ネタ切れになる心配は皆無だった。

当日のネタとして個人的に胸に秘めていたのは、Togetterでも確認いただける「アクセシビリティというものに対する評価」、さらに「個々のモチベーション*1」あたり。あとはなんといっても冒頭で述べさせていただいた、Web24というイベント自体で 「Webにアクセシビリティはもはや無視できない」という言葉で我々を招集いただいた主催のスタンスに感謝を述べられたことで、おおよそ消化できた。

逆に、ファシリテーターをしてくれていた@masup9さん(以後ますぴーさん)は、色々議題を持ってきてくれていたらしく、組織まわりのことなどが残ってしまったのだが、それはまたどこかで話せるとよさそうだ。彼はセッション中に「アクセシビリティ24*2」などと言っていたので、あるいは……?

前述の通り、コメントは(YouTubeでは受け付けず)Twitterハッシュタグのみ、ただし登壇側はそもそもTwitterの内容をフォローする必要もなし……という特殊なスタイルで配信されていたため、わたしはその方針を忠実に守り*3後から確認するスタイルを取ったのだが、おおよそ肯定的な意見をいただけていたようだ。

また、あれだけ大きなイベントの最初のセッションに置いていただいていたのもあってか、「アクセシビリティを聞いたことはあるけどよくわかっていなかったから、話しを聞けただけでも勉強になった(※意訳)」という方さえいたため、登壇させていただいた意義はあったとさせていただく。

実は胸の内から残った「モチベーション」については、特に@momdo_さん(以後もんどさん)に聞いてみたかったものだ。なぜなら、Webに関連する仕事をするにあたりおおよそ行き着く先が「仕様書」である我々。Webアクセシビリティに限らず、仕様書の日本語訳のかなりの数がhttps://momdo.github.io/に置かれており、お世話になっている人は多いのではないだろうか。

ぼやっとした雑なツイートだったりしても丁寧に説明を返してくれたりで、もんどさんにはだいぶ助けられる機会が多い。そのモチベーションって一体なんだろうかと興味があるため、こちらもまた別の機会に伺ってまとめたい。

場外セッション「残り香的なもの」と言い残し

基本的には、言い残しはない。基本的には。

主催からも「言い残しなく終えてくれ」との要求があったため、その通り実行した。

が、そうは言っても「1時間半はあっという間ですよ」という相反する(主催の)言葉通り、終わった後にTwitterに場を移し先日公開されたばかりの「スペース」でアフタートークをおこなった*4。そこでは入れ替わり立ち替わり、だいたい常時20人前後の方々が聞いていてくれたと記憶している。こちらにもまた感謝の意を述べたい。

会話に参加したい人は挙手してね、と言ってはいたが、結局4人でずっと話すに終わった。

スペースの安定性も8割だったのもあり、所々落ちた人もいたし、わたしも最後は入室できずにそのまま撤収に至った。

おおよそ、本編からの派生の話しをしていたのだが、大事な話しが1件残っていたのが発覚した。

それがこれだった。

この話しに至るのは@katsutoshitsujiさん(以後辻さん)が吐露した一言がキッカケだった。「ぼくはただ普通に使いたいだけなのに」なぜ特別対応をわざわざして「いただかなくては」いけないのか。

障害に対して「助けてあげる」(優しくしてあげる)というエゴが介在する限り、特別対応感覚ってなくならないだろうな……という話だ。

この感覚、あまりピンとこないかもしれないが、言葉や行動の裏にどうしても上下関係が嗅ぎ取れるようになるのが問題な気がしている。本編中にも出たが、どうしても福祉→慈善→ボランティアなイメージがつきまとうのがいけない。

話しの延長で、Web JISと呼ばれる「JIS X 8341-3」に[8341:ヤサシイ]と付いたのがガッカリ……と言う意見も出ていた*5。一方でわたしからは「このヤサシイという謎の番号がついていることで、若干読んでみようのハードルが下がったことも事実だし、わたしの場合はそもそも『福祉概念』が欠如しているため、いい面もあるのでは?」という意見を申し上げた。

残念ながら辻さんが持論の披露中という丁度悪いタイミングで落ちてしまい、この議論は収束してしまった。こちらもまた別途お話し伺えたらなあ*6と思う。

この他、本編で問題提起で終わった「いかに組織で価値のあるものと認識されるか」という話しについて、アクセシビリティSDGsやESGに直結させることができるものである、という理解促進が求められる、などの議論をした。

後々、ますぴーさんが「残り香までUDトークを起動させておけばよかった」と言っていたが、確かにそうしたら記録が残ってよかったかも。もはやどんな話しをしていたか、揮発してしまった。

UDトーク

さて、先ほどよりお伝えしているUDトークの件だ。

我々のセッションはアクセシビリティをテーマにしているだけあり、当初よりますぴーさんが「情報保障(ライブキャプションの提供)をしたいのだがやってもいいか」と提案をしてくれており、運営側に許可を取って当日実施した。

udtalk.jp

利用したのは首題のとおり「UDトーク」で、今回はアプリに直接配信する形でライブキャプションを流した(ますぴーさんが)。

ここでも有志の方及び運営の方に、書き起こしミスの修正をいただいたりでお世話になった。こちらにも感謝したい。

セッショントーク自体はZoomでおこなわれたのと、UDトークからもYouTubeへのライブ配信も可能ではあるが、配信アカウントやYouTubeへの接続アカウントなどの諸々の調整、切り替えなどの問題があり、今回はアプリへの直接配信の方法が取られた。

我々の体勢としては、Zoomで会話をするが他人の声はイヤホンから受け取り、自分の声はマイクから(→Zoom)+UDトークを立ち上げた端末(わたしはiPad)で自分だけの声を聞き取らせ書き起こし。

書き起こされたデータはますぴーさんのアカウントに集約され、そこから配信。編集権限を持ったボランティアと運営サポーターにリアルタイムに編集いただいたものが、配信先の手元でリアルタイムに表示されていた、という流れ。

YouTubeの配信が若干どうしても遅延するため、字幕の方が少し早く配信されていたらしい。が、ここですら多少好意的に受け取られていたことがTwitterから見て取れる。

そうそう、そういえばUDトークこそがエゴのないWebアクセシビリティの技術的側面を体現している、という話しをしようと事前テスト時に話していたのだが、すっかり忘れてしまっていた。

出演前の控え室(という名のWeb空間)ではWeb24の配信を見ながら配信準備の通話、などがUDトークの準備をしながら他のメンバーの声を聞きながら……などできず、どんなオープニングトークがなされていたのか把握ができなかった。そういう時に、健常者であっても(音が出せない環境では)字幕表示などは大変に有用なのだ。

*1:ここはとくに話題に出なかったため、セッション中も後も触れられてはいない。

*2:そういえば世界的なWebアクセシビリティ24デーがすでに定められており、GAAD(Global Accessibility Awareness Day:ギャード)という名称で毎年5月第3木曜に世界中でWebアクセシビリティに関連するイベントが開催されている。日本でもGAAD Japanが開催されるため、今回少しでも気になった方は参加されてみては。

*3:他の方たちはチラチラ確認されていたらしい。

*4:そのスペース名が「残り香的なもの」というものだった。

*5:これは多方で以前より言われていることである点注意。

*6:辻さんは「アクセシビリティを食べながらランチを語ろう」というキャッチフレーズで#アクセシブランチというランチイベントを定期的に開催されている。こちらに参加すると、直接辻さんとお話しできる。